ある日の会社概要講演

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ある日の会社概要講演薮崎産商 社長ブログ

100528ある日の気ままな会社概要講話

100年ブランドをつくる経営  藪崎宰一

「水車」

人生とは水車のごとくなり

すべてが水に浸かっていれば流され

水から浮いて離れていれば用を為さない

適度に水に逆らうことによって

はじめて用を為す      

 漫画〔ほらふきどんどん〕より

 

薮崎産商㈱の職業分類は肥料製造配布となっていますが、現在はスタンスを変え「健康、安全、安心、美味しさの提供業」と少しカッコ付けた方向に軸足を移し変えようとしています。

皆様、ご存知の通り、肥料の卸と製造、商品開発をやっていますが、創業約100年になります。精米業を含めれば明治からですから100年以上という事になります。

景気の話で「儲かっている」とか「景気が悪い」とか言っている人は幸せな人達だと思ってます。

儲かった事のある人達だからこそ景気が悪い等とはじめて言えるのであって、私から見れば羨ましい限りです。皆さんの会社のように好景気で登りのエスカレーターに乗り自動的に登って行ける環境や経験はなく、常に下りのエスカレーターに乗り駆け足で汗をかきながら走っているのが私です。お蔭様で趣味は「マラソン」等と言ってたことも有りました。私共の業界の環境は終戦後から農家と農地は減り続け、毎年需要のマイナスを前提に経営計画を作成しています。目立たぬように、本体は潜っていても潜望鏡だけは海面の上に出していると言う状況です。

過日、メンバーの小林先輩からご紹介を受け入会させて頂いた会から「学士会館」という所で話をして来なさいと言われ、それこそカッコつけた所のようなので丁重にお断りしたのですが、とにかく行って来て下さいと言われパネラーの一人として行って来ました。当日学士会館で「世阿弥に学ぶ100年ブランド」と言う大学教授の出版した本をいただき講義も受けました。

パネラーとして前に出て驚いたのがすぐ隣の方がクラレの会長の和久井康明様、もう一方が輸出80%、世界でNo1を目指す大橋様、そして目の前でこちらを向いている方が東急ホテル相談役梅原様、その他皆様が知っている会社の面々がこちらを向いていましたので場所を間違ったかと一瞬思いました。クラレの和久井会長と名刺交換をした折に態度のでかいのが取り柄の私は「会長様はご存じないと思いますが、クラレの硫安を三菱経由で扱っていますよ!」と言ったら驚きながらも大いに喜んで頂き、又親しみを込めて「大変お世話になります。」と丁寧なお返しを頂きました。田舎の何処の誰か解らない私にそのような態度をとって頂いた事に、「稔るほど頭を垂れる稲穂かな」やはり大物、本物は違うと実感しました。

 うちは、明治末期から商売を始める前に、水車で米をついて精米業をしていたようです。大正2年にお米の販売を始めて、昭和2年に肥料の販売も手がけました。その間に、煙草、塩、切手という官製品のようなものを取り扱いながら、戦後に農薬をはじめました。今、主力になっているのが、肥料です。資源の少ない日本は肥料も原料は輸入に頼り私共もそれらを利用し、商品開発、配合メーカーとして、肥料の製品にして提供させて頂いています。ただ、その流れの中で、最後に肥料と言いましたが、この時勢を考えてみますと、私が子供だった時に、おじいさん、おばあさんが話していた言葉が頭の中によぎっていることが確かにある感じがします。今では、土日休み、有給10日は新入社員でも当たり前ですが、私が小さい頃に、聞いた感じがするのは、「暗いから暗い」まで働いたということです。うちのおじいさん達がお米や里のものを山に持って行き、山から炭や薪とか山のものを里に持って来て、これをやっている内に肥料もやるようになったと思います。その頃、お米などは、相場品として、毎日値段が変わっていました。うまく行っても悪く行っても色々な時があるから、油断なく毎日の生活をするのだ、少しばかりお金が出来ても派手な生活をするものじゃないとか、失敗してもめげるのではない、というようなことをおじいさん、おばあさんから聞いていたような感じがいたします。

会社の社是は、私が若い時に勝手につけましたが、「実存」になっています。カミュのシーシポスの神話という物語の中に、人間は色々な重い鎖に繋がれて山の頂上まで行っても、また、神様に蹴落とされ、それでもまた山の頂上まで登っていく、というものです。何が信じられるかと言えば、世の中には、不条理というか、理に合わないことがたくさんある、でも、その中で自分が生きているという「存在」だけは自分が信じなければいけないと、自分が生きているという「実存」、「存在」を唯一自分で実感できる事だと言うことが私の頭にありました。おじいさんたちが言った、いい時も悪い時もある、どんな時もくじけるなよ、という思いがあり、そこで社是を「実存」としました。

肥料の商売は、太平洋戦争があり、終わってから65年間、この業界は、農家がおそらく一軒も増えていません。耕作放棄地は毎日増えています。しかしながら、ある反面、100年に一度の危機と言われていますが、100年に一度のチャンスでもあると思います。私は2年続けてチャンスだと思っていますが、そのつもりで頑張ってみても、現実は中々答えが出ていません。思うようにいかず、頭を悩ましているのが現状です。しかし、会社の経営は、一回一回の勝ち負けではなく、とにかく存続させて、従業員にも定着してもらうことだと思います。お陰様で、小人数ではありますが、社員も辞めた人がほとんどいなく、ただ、経営環境が厳しいため、入ってくる人も中々いませんが、娘達も入って来てくれています。労務管理をしっかりしながら、経営は一円の儲けが大切、切手の商売も一円からやっている、一円の黒字と一円の赤字では天と地の差が有ります。一円を大事にして、一円の黒字を出せ、という、そんな気持ちでやっています。ボーナスにしても給料にしても一回一回、社員全員に社長室に来てもらい、事務員の人とでも、パートの人も含め社員全員と話をし、経営状況も話しながら、社員の思いも聞きながら進めております。

会社の存続はお客様の拍手で支えられている!一時の利だけでなく、お金で買えないものを深く、長く提供し続けよう!お客様からより大きな拍手を貰える様、頑張っているのが薮崎産商㈱だと思ってます。

本題に入る前に時間が近づいています。「時間通り終われよ!延長戦は無しだ!」と言われています。話の続きは又のココロだ!と言うことで、ご清聴ありがとうございました。

 

道はじぶんでつくる

道は自分でひらく

人のつくったものは

じぶんの道にはならない

        みつお